資源・エネルギー鎌田浩毅の役に立つ地学

なぜ西日本で近ごろ直下型地震が続くのか=鎌田浩毅

京都で相次ぐ直下型地震 活断層の「近畿三角帯」に隣接/101

 京都府南部で3月31日に震度4、続く4月3日に震度3、5月2日に再び震度4を観測する直下型地震が起きた。3月31日、5月2日とも震源の深さは約14キロ、マグニチュード(M)は4.4と推定され、いずれも1830年に起きた「文政京都地震」と震源地が近い。これは京都市内で大きな被害をもたらしたM6.5の直下型地震で、犠牲者1000人以上と伝えられている。

 文政京都地震の震源は、亀岡盆地の東縁から京都盆地の西縁にある「京都西山断層帯」に含まれ、「近畿トライアングル(三角帯)」という日本有数の活断層密集地帯に隣接している(図)。ちなみに、京都盆地は西を京都西山断層帯、また東を花折断層帯という活断層に囲まれている。

 近畿トライアングルでは2018年に死者6人を出した大阪府北部地震(M6.1)も起きており、地震エネルギーが蓄えられて内陸地震が起きやすい特異な場所と考えられている。そして、西日本の内陸地震では、直下型地震の「活動期」と「静穏期」が交互にやってくることが分かっている。そして、現在は次の南海トラフ巨大地震の発生前の「活動期」に当たる。

 過去に起きた地震を詳しく調べると、南海トラフ巨大地震発生の40年くらい前からと、発生後10年くらいの期間に、内陸の活断層が動いて地震発生数が多くなる傾向がある。そして、1995年の阪神・淡路大震災は、こうした活動期が始まった最初の直下型地震であると位置づけられる(本連載の第12回を参照)。

安政地震の24年前

 日本で発生した最大震度6弱以上の内陸地震を調べると、前回の南海トラフ巨大地震である昭和東南海地震(1944年)以後に58回起きているが、そのうち約8割に当たる50回が阪神・淡路大震災以後に起きている。

 具体的には、2005年の福岡県西方沖地震、13年の淡路島地震、16年の熊本地震、18年の大阪府北部地震など、西日本の内陸で直下型地震が次々に起きた。そしてこれらが増えてピークに達したとき、最後の打ち止めとして南海トラフ巨大地震が30年代に起きると予想される。

「過去は未来を解く鍵」という見方から江戸後期の例を見ると、1830年の文政京都地震は1854年に南海トラフで起きた安政東海地震、安政南海地震の24年前の内陸地震であった。

 ちなみに、こうした直下型地震の発生を日時の単位で正確に予測することは今の技術では不可能である。ちまたでは「何年何月何日」に地震が発生することを予知したという情報が流れることがあるが、科学的にはまったく根拠がないと日本地震学会も断言している。

 次回の南海トラフ巨大地震はM9・1の超巨大地震で、東日本大震災より1ケタ大きい被害が想定されている。その危険性が高まるにつれ、西日本では同時に近畿トライアングルに関係した内陸地震も増えていくと考えられ、警戒を緩めることは禁物となる。


 ■人物略歴

かまた・ひろき

 京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授・名誉教授。1955年生まれ。東京大学理学部卒業。専門は火山学、地質学、地球変動学。「科学の伝道師」を自任。理学博士。

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