教養・歴史アートな時間

巨匠の初来日作を前に格別な高揚感=石川健次

ディエゴ・ベラスケス ≪卵を料理する老婆≫ 1618年 油彩・カンヴァス
ディエゴ・ベラスケス ≪卵を料理する老婆≫ 1618年 油彩・カンヴァス

美術 スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち

ベラスケス、ラファエロ、エル・グレコ……

西洋絵画史を彩る傑作の数々

 老婆が火にかけた陶器の鍋で卵を揚げている。暗がりに浮かび上がる厨房でのひとこまである。図版の作品だ。簡素な身なりで右手にスプーンを、左手に卵を持つ老婆の目は、かたわらの少年に向けられている。少年の左手にはガラス製の瓶、右手に抱えているのはメロンだ。画面手前のテーブルやそこかしこに素材の異なる器が並んでいる。

 柔らかなものは柔らかく、硬いものは硬く、それぞれの質感の違いまで巧みに描かれ、日常のふとした情景がリアルに再現されている。17世紀バロック美術を代表する画家として知られるディエゴ・ベラスケスの初期の代表作だ。この時、画家は「まだ18歳か19歳」(本展図録)。後に近代フランスの画家、マネが“画家の中の画家”と称えた才能を早くもうかがわせる1点だ。

残り1012文字(全文1407文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

8月23日号(8月16日発売)

電力危機に勝つ企業12 原発、自由化、再エネの死角 オイルショックを思い出せ ■荒木 涼子/和田 肇15 電力逼迫を乗り越える 脱炭素化が促す経済成長 ■編集部16 風力 陸上は建て替え増える 洋上は落札基準を修正 ■土守 豪18 太陽光 注目のPPAモデル 再エネは新ビジネス時代へ ■本橋 恵一2 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事