ジャンルを軽々横断！

マッハのスピードで移動！

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　ジャンルをクロスオーバーする本がある。例えばわたしの過去のある著書についても、人文書とライトノベルと育児本、3冊買わないと読めないものが1冊ですむから、お得感があるんですよと言われたことがある。が、そんなバーゲンセール的お得感などぶち飛ぶような、絢爛(けんらん)豪華にしてハイパーリッチなクロスオーバー本を読んだ。『イスタンブールで青に溺れる　発達障害者の世界周航記』（横道誠著、文藝春秋、1870円）である。

　何が絢爛豪華って、別に著者の旅のスタイルがリッチというわけではない。そうではなく、著者の文章とそこから立ち上がるイメージのレイヤーが豊潤なのである。あまりに幽玄で美しく、この世ならぬものを見せられたような気分に浸っていると、次の段落には、いやふつう、そこには飛ばないでしょうといういきなりの展開があり、爆笑してしまう。才走った文体、などとよく言うが、この文体の才気は走るどころかマッハのスピードで縦…