教養・歴史小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

モノでも地位でも、手に入れるとそれ以上のものが欲しくなります/130

Q モノでも地位でも、手に入れるとそれ以上のものが欲しくなります

 モノや社会的地位などは十分手に入れたと思うのに、どうしても満ち足りません。こんな貪欲な自分の性格がつくづく嫌になります。(会社役員・40代女性)

A 「非-知」の態度でこれまでを振り返り、欲望=苦悩の核の正体を知ろう

 私も欲望が強いほうなので、よくわかります。もちろん、そのおかげで活動的になれるのはいいのですが、苦しみ始めると問題ですよね。そこで参考になるのは、フランスの哲学者ジャック・ラカンの考え方です。

 彼はフロイトの精神分析を発展させて、独自の理論を構築したとされます。ラカンによると、人間というのは欲望を持たざるを得ない存在だということになります。というのも、人間とは言語によって存在を規定されており、それゆえに言語で形成された世界の外側にあるものに気づくことができません。

「対象a」を見極める

 それが欲望の正体だというわけです。この欲望は、ラカンの言葉でいうと「対象a」とも表現されるもので、際限のない欲望の対象とでもいうべきものです。その対象aのせいで、私たちは原因不明の精神的病を患ってしまうことがあるのです。

 ちなみに、対象aは「小文字の他者」ともいわれます。本当の他者がAだとすると、それとは異なる自分の中の他者という意味を含んでいるのです。

 どうしても欲望が満たされないというのは、病ではないにしても、苦しみであ…

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