新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

モノでも地位でも、手に入れるとそれ以上のものが欲しくなります/130

Q モノでも地位でも、手に入れるとそれ以上のものが欲しくなります

 モノや社会的地位などは十分手に入れたと思うのに、どうしても満ち足りません。こんな貪欲な自分の性格がつくづく嫌になります。(会社役員・40代女性)

A 「非-知」の態度でこれまでを振り返り、欲望=苦悩の核の正体を知ろう

 私も欲望が強いほうなので、よくわかります。もちろん、そのおかげで活動的になれるのはいいのですが、苦しみ始めると問題ですよね。そこで参考になるのは、フランスの哲学者ジャック・ラカンの考え方です。

 彼はフロイトの精神分析を発展させて、独自の理論を構築したとされます。ラカンによると、人間というのは欲望を持たざるを得ない存在だということになります。というのも、人間とは言語によって存在を規定されており、それゆえに言語で形成された世界の外側にあるものに気づくことができません。

「対象a」を見極める

 それが欲望の正体だというわけです。この欲望は、ラカンの言葉でいうと「対象a」とも表現されるもので、際限のない欲望の対象とでもいうべきものです。その対象aのせいで、私たちは原因不明の精神的病を患ってしまうことがあるのです。

 ちなみに、対象aは「小文字の他者」ともいわれます。本当の他者がAだとすると、それとは異なる自分の中の他者という意味を含んでいるのです。

 どうしても欲望が満たされないというのは、病ではないにしても、苦しみであ…

残り752文字(全文1352文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事