国際・政治ワシントンDC

石油はドンドン掘れる?見通し難しい米エネ政策=多田博子

「Drill Baby Drill」の文字を印刷したTシャツは今も一部で着られている Bloomberg
「Drill Baby Drill」の文字を印刷したTシャツは今も一部で着られている Bloomberg

民主党「石油増産」で再注目の合言葉

インフレ抑え有権者の支持狙う=多田博子

「ドリル・ベイビー・ドリル(石油をドンドン掘れ)」これは、2008年当時の共和党大会での合言葉だ。当時のオバマ政権がメキシコ湾海底油田事故を受けて海底油田開発を一時凍結したことに、共和党が反発。副大統領候補だったサラ・ペイリン元アラスカ州知事が、演説の際に好んで使い、共和党員のみならずガソリン価格高騰に怒る国民の間に広く浸透した。

 いったんは忘れ去られたこの言葉が、再び注目を集め始めている。発端は、米エネルギー省のグランホルム長官が3月にヒューストンで行った会見で「戦時中の今、政府は備蓄石油を放出した。企業は生産を今すぐ可能な限り増やしてほしい」と発言したことだ。50年カーボンニュートラル達成を目指すバイデン政権の旗振り役でもあるエネルギー長官の言葉だけに、耳目を集めた。

背景に11月の中間選挙

 ガソリン価格ももちろんだが、最近の米国内のインフレには目を見張る。著者は4月に赴任したが、近所のスーパーに行くと、12ロールのトイレットペーパーが18ドル(約2000円)で売られていた。普通のスーパーで販売されている日用品が、この値段だ。

 遠い将来の理想郷より今日の生活。11月に中間選挙を控え、政権として少しでも米国内でエネルギー生産を増やし、物価を抑えたい気持ちは理解できる。

 一方、石油は今掘って、即増産できるような性質ではない。米石油会社が保有する、連邦政府所有地での掘削許可証は約9000件だが、実際の掘削本数は年間平均1560本にとどまるとされる。

 つまり企業は許可証があっても、SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・企業統治)を重視した昨今の投資家の声や労働力不足、掘削機器の供給網における諸課題…

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週刊エコノミスト

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