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増税した英政府と利上げしない英中銀の力関係とは=増谷栄一

エネ企業への増税でインフレ加速

英国で高まる批判、英中銀も矛先=増谷栄一

 英国政府が5月に実施した石油・天然ガス企業への年間50億ポンド(8100億円)の臨時利得税の追加増税は新たなインフレ要因になるとの懸念が強まっている。また、インフレ加速に無力なイングランド銀行(BOE、英中銀)の信頼性に疑問を投げかける声が高まっている。

 利得税は税率25%の追加増税で、原油・天然ガス高騰の恩恵を受ける石油会社の過剰利得に対する臨時課税措置として5月26日から実施された。

 英紙『デイリー・テレグラフ』のトム・リース、レイチェル・ミラード両記者は5月27日付で、「石油・ガス生産者は北海から東南アジアに拠点が移り、英国のエネルギー安全保障に逆行する」と警告。北海で石油掘削事業を行っているエンクエストは東南アジア進出の準備を開始している。

 政府は鞭(むち)の代わりにあめも用意。新規投資に80%の投資税額控除を認めるとしたが、両記者は、「投資減税は英国で多額の投資を考える再生可能エネルギーには適用されない。10年先の計画を立てるには確実性が必要だ」と、問題点が多いと主張する。

 増税はエネルギー価格が通常レベルに戻るまで継続されるが、段階的に廃止されるので、2025年12月末まで続くと見られている。既存課税と合わせ石油会社は65%の高税率となる。両記者は、「政府が化石燃料の海外依存低減のための投資を求めているとき、課税は石油業界の北海投資を低迷させる」と警鐘を鳴らす。

 ジョンソン首相の元経済顧問のジェラード・ライオンズ氏はテレグラフ紙の5月27日付コラムで、臨時利得税はインフレを加速するだけで、政府は減税に集中すべきと主張。英国経済は4月からの増税による生計費危機により、4月の国内総生産(GDP)は…

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