教養・歴史書評

現代ロシアの「インテリゲンツィヤ」はどこにいる=本村凌二

19世紀ロシア帝政下に自由を求めた思想家たちの実像を探求

 ソ連からロシアになって30年以上がたった。いくぶんか社会の自由度も増し、隠し事も少なくなっているかのようだ。実際、A・コンチャロフスキー監督の「親愛なる同志たちへ」は、1962年のフルシチョフ政権下の事件を題材にした映画だったが、大規模なストライキが発生し、暴徒化した群衆を鎮圧するなかで、おそらく100人を超える死者が出たこの出来事を扱っている。この事実は、ソ連が崩壊するまで約30年間隠蔽(いんぺい)されていたが、一昨年公開された同映画で白日の下にさらされたというわけだ。ロシアも情報公開が進み、自由な行動ができるようになったとも思えるが、いかなる変化があったのか、実情は疑わしい。

 バーリン著『ロシア・インテリゲンツィヤの誕生 他五篇』(岩波文庫、1111円)は、19世紀ロシア帝政下の思想家たちがいかに強く自由を求めたか、その人物像を探求する。具体的には、ゲルツェン、ベリンスキー、トゥルゲーネフなどについて深い共感を込めて描き出す。そこでは、非暴力的改革の可能性を秘めた肯定的側面が取り上げられている。

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