教養・歴史小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

ホラーやグロテスクなものなど変わったものが好きですが、趣味が合う人がいません/134

Q ホラーやグロテスクなものなど変わったものが好きですが、趣味が合う人がいません

 ホラーやグロテスクなものなど一風変わったものが好きで、その話をするとあまり乗り気ではない顔をされることが多く、趣味が合う人がいなくて困っています。(自由業・30代女性)

A 異質なもの=聖なるものに宿る魅力や価値、畏怖の念を自ら発信してみては

 一風変わったものが好きな人っていますよね。でもそれはその人が変わっているわけではなくて、そのものが変わっているわけです。そして、変わったものがいけないかというと、決してそんなことはありません。どんなものにもなんらかの価値があるはずですから。

 ただ、その価値に気づくかどうかだと思うのです。この点について参考になるのが、フランスの思想家ジョルジュ・バタイユの「聖なるもの」とういう考え方です。

 聖なるものとは、人を畏怖(いふ)させると同時に、また人を引き付けるものでもあります。具体的に彼は、醜悪な馬の図像や不気味な挿絵、あるいは骸骨寺の地下聖堂などを挙げています。いずれも一般的に言えば、いかにもグロテスクなものですよね。

自分だけに湧く感覚

 これらはまた「異質なもの」とも表現される通り、通常のものとは異なっているのです。だからこそ畏怖や魅力を覚えるのでしょう。当たり前のものを目にしても、おそらく畏怖などの感覚は生じにくいでしょうから。

 そう、聖なるものとは、主体が自分の中に生じる感覚にほかなりません。ですから、同じものを見ても、人によっては何も感じないこともあるわけです。逆に言うと、何かを見て自分だけが魅了されるというのは、すごいことなのです。

 特別な感覚を持っている…

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