米ドル主体の戦後経済体制に崩壊の危機=市岡繁男
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始まったロシアの「米ドル資産」外し
ロシアのウクライナ侵攻に対し、西側諸国はロシアの中央銀行の資産を押収する禁じ手に踏み切った。諸外国にしてみたら、世界一安全とされる米国債を持っていても安心できない。今回の件は新興国を中心に貿易におけるドル離れを促し、米国債の保有削減→金利上昇という形で米国自身に跳ね返ってくるのではないか。
兆しはある。2008年のリーマン・ショック時をピークに、海外投資家の米国債保有シェアはずっと低下し、直近は00年以前の水準に戻っている(図1)。代わりに増加したのは新興国の金準備だ。各国とも際限もなく増刷されるドル資産の目減りを懸念しているのだ。昨年からは、海外中銀が保有する米国債残高や、米ドル主体の外貨準備高も減少し始めた(図2)。
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週刊エコノミスト
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