不景気が不可避なら「早い方がバイデン政権の傷は浅い」という説=岩田太郎
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米経済に迫る景気後退の足音
雇用を犠牲にインフレ抑制?=岩田太郎
頑固なインフレを制圧すべく、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げと量的引き締めに邁進(まいしん)する中、米経済の各指標に減速の兆候が現れ始めた。しかし、薬が効きすぎて景気後退に陥るリスクの高まりも指摘される。不景気は米政治にどのように影響するのか、また、米経済を立て直す処方箋は何か、米論壇で議論されている。
米国内総生産(GDP)の主要なけん引役である個人消費は、米小売売上高が5月、自動車など高額商品の購入が大幅に減少し、5カ月ぶりに前月比0.3%減となった。また、米鉱工業生産指数の製造業部門は5月に、市場予想の前月比0.3%上昇に反し、4カ月ぶりに0.1%の減少となった。米住宅着工件数も5月に前月比14.4%低下し、約1年ぶりの低水準で予想以上の減少となった。
こうした中、米CNNは6月26日付の記事で、「まだ景気後退入りはしていないものの、その兆しはあらゆる面に現れている」と報じた。同記事では、「銅は建築資材として多く使用されるため、経済が縮小する際に需要が落ち込むことで知られる。その銅価格が16カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。一方、消費者が必需品以外の買い物を控え始め、6月のミシガン大学消費者信頼感指数は前月比14.4%減少し、1952年の統計開始以来で最低水準に下がった。暴騰を続けてきたガソリン価格がようやく低下に転じたが、これは業界が景気後退を織り込んだ結果だ」とまとめた。
24年大統領選にも影響
ローレンス・サマーズ元財務長官は6月12日のCNNの番組に出演し、「現在のように高インフレと低失業率が同時に現れる状況の下では、2年以内に景気後退が起こる可能性が非常に高い」と語った。サマーズ氏は経済減速を緩和…
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週刊エコノミスト
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