敗戦末期の沖縄県知事に萩原聖人、警察部長に村上淳。名優2人が渾身の演技=寺脇研
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映画 島守の塔
奮闘した知事と警察部長通じ沖縄戦の悲劇描く=寺脇研
悲惨な沖縄戦の中で精一杯県民を護(まも)ろうとした知事・島田叡(あきら)の存在を初めて知ったのは、当時「東宝8・15シリーズ」と銘打って毎年夏に公開されていた大型戦争映画のひとつである「激動の昭和史 沖縄決戦」(1971年、岡本喜八監督)だった。それまで、女子学生のひめゆり部隊や島民の莫大(ばくだい)な犠牲について知ってはいたものの、沖縄県外の正規兵6万6千人、沖縄県民12万2千人が亡くなった戦いの全貌が理解できたのは、この映画のおかげである。
前知事が本土へ逃亡した後釜に指名された電話を受け、従容(しょうよう)として戦場となること必至の島へ赴く場面(演じたのは神山繁)は鮮明に記憶に刻んでいる。その少し後に、島田のちょうど50年後輩として大学を卒業し役人になった私は、到底真似できないかもしれないにせよ、この生き方を模範にしたいと考えて仕事と向き合ってきたつもりだ。
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週刊エコノミスト
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