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現実は正確には把握しがたい 抽象画然とした画面に隠れる蛮行=石川健次

ゲルハルト・リヒター《ビルケナウ(CR: 937-4)》
ゲルハルト・リヒター《ビルケナウ(CR: 937-4)》

美術 ゲルハルト・リヒター展 現実は正確には把握しがたい 抽象画然とした画面に隠れる蛮行

 抽象画然とした図版の作品は、本来は4点からなる連作だ。《ビルケナウ》というタイトルのこの連作を前にしたとき、本展図録のなかに書かれた「逡巡(しゅんじゅん)や不安、窮屈さを感じさせる」という言葉と、なるほど似た思いが心をよぎった。

 ドイツ東部のドレスデンで1932年に生まれたゲルハルト・リヒターは、ベルリンの壁が築かれる直前の61年に西ドイツに移住した。2005年から06年にかけて日本初の回顧展となった「ゲルハルト・リヒター展」に関連して刊行された『ゲルハルト・リヒター』(淡交社)によれば、「芸術家として何の未来も見出(みいだ)せなかった故郷を、リヒターはまさに間一髪離れることができた」。

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