首都直下地震はいつ起きる?
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今は9世紀と類似する「大地変動の時代」/108
昨年10月の千葉県北西部を震源とする地震は、東京都内で震度5強の強い揺れを観測したが、国が想定している首都直下地震よりも深い地震で、規模もはるかに小さかった。
首都直下地震は国の地震調査委員会が今後30年以内に70%の確率で発生すると予測するマグニチュード(M)7クラスの巨大地震である。その発生時期は「いつ起きてもおかしくない」と言われているが、過去の地震の発生状況を見ると、おおよその時期が予測可能である。
現在の日本で懸念されている最大の自然災害は、被害総額の大きな方から南海トラフ巨大地震と首都直下地震である。すなわち前者は220兆円、また後者は95兆円という莫大(ばくだい)なもので、国の今年度予算の税収65兆円をいずれも大きく上回る。
日本列島の内陸で起きる直下型地震は、2011年に発生した東日本大震災を引き金として活発化した。その原因は、M9.0という約1000年ぶりの巨大地震が地盤を不安定にしたからだ。
ここで生じたひずみを解消するため、内陸地震は震災前に比べて約3倍に増えており、日本は言わば「大地変動の時代」に入ってしまった。
こうした直下型地震は少なくとも数十年はやむことがないと地球科学者は予測しているが、その中で最大の被害をもたらすのが首都直下地震である。
地下にエネルギー蓄積
現代と同じ大地変動は1100年以上前の平安時代(9世紀)にも訪れたことがあり、両者には地震や噴火の発生に類似性がある(表)。
東日本大震災に相当する地震が前回起きたのは西暦869年である。東北沖を震源とするM9クラスの貞観(じょうがん)地震だが、それを機に全国で地震と噴火が頻発した。そして9年後の878年に関東南部でM7.4の直下型地震(相模…
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週刊エコノミスト
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