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資源・エネルギー 鎌田浩毅の役に立つ地学

関東大震災は再来するか=鎌田浩毅

谷状の「相模トラフ」が元凶/109 

 首都直下地震はいつ起きてもおかしくないとされる激甚災害だが、その想定の中には1923年に起きた関東大震災の再来が心配されている。約10万5000人の犠牲者を出し、全半壊・全焼した家屋は約37万棟に達した複合型の都市災害である。

 その原因はマグニチュード(M)7.9という規模の「海の巨大地震」であり、房総半島と伊豆大島の間を境とする二つのプレートがずれることによって発生した。すなわち、陸のプレートである北米プレートの下に、海のプレートであるフィリピン海プレートがもぐっている箇所がずれたのである(本連載の第73回参照)。

 この海底にある「相模トラフ」という谷状の地形は、巨大地震を周期的に起こす元凶である(図)。相模トラフは大正時代に関東大震災を引き起こしただけでなく、1703年に元禄関東地震(M8.2)を起こし、鎌倉に高さ8メートル、品川に高さ2メートルの津波が押し寄せた。その結果、1万人以上の死者を出し、江戸の元禄文化を打ち砕いたとされている。

 近い将来にこのタイプの地震(M8.2)が海底で起きると、東京湾に2~4メートルの津波が25~45分で押し寄せる。また震源に近い相模湾内では高さ6~10メートル以上の津波が5~10分で襲ってくる。

 侵入した津波は地震で破壊された堤防の隙間(すきま)をぬって、首都東部のゼロメートル地帯を襲う。都心には網の目のように地下鉄が通っているので、地下街とともにその浸水対策が急がれる。

 さらに、震度6強以上の強い揺れによって、東京湾の埋立地や川崎市や横浜市などの沿岸域では激しい液状化が起きると予想される。その結果、内閣府の被害想定では最大の死者数3万1000人、また全壊棟数は39万棟に達する。

来年で「100年」

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週刊エコノミスト

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