ロシアのガス供給減でドイツの大手ガス会社が経営難に=熊谷徹
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ウクライナ戦争に伴うドイツのガス危機が、日に日に深刻化している。同国の大手エネルギー企業ユニパーが、ロシアのガス供給量削減のために経営難に陥り、7月8日に政府に救済措置を申請した。
独日刊紙『南ドイツ新聞(SZ)』は7月8日付電子版でユニパーの経営状態が悪化した理由について、「ロシアは6月16日以来、パイプライン「ノルド・ストリーム1(NS1)」の1日のガス輸送量を通常比で60%減らした。ユニパーはスポット市場で割高のガスを調達して不足分を補わざるを得なくなった」と解説。その上で、「2020年のコロナ危機に、政府は航空会社ルフトハンザの株式20%を取得して倒産から救ったが、ユニパーに対しても同じ方式が取られる可能性もある」と予想する。
ユニパーはロシアからのガス調達量がドイツで最も多い。同社が去年外国から輸入したガスの54%がロシア産だった。同社は製造業界の約1000社に産業用ガスを供給している他、100社を超える地域エネルギー供給会社にガスを売っている。
独日刊経済紙『ハンデルスブラット』は、7月7日付電子版で「ドイツの大手ガス会社VNGも、政府の救済措置を申請する可能性がある」と報じた。
ハベック独経済・気候保護相は、「エネルギー企業が倒産すると、業界全体に連鎖倒産が起きる危険がある。リーマン・ショックのような事態を防がなくてはならない」と発言しており、政府がこれらの企業を救済するのはほぼ確実と見られている。
ドイツの日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』の6月23日付電子版によると、政府は同日「ロシアのガス供給量削減により、ガスが不足する可能性がある」として…
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週刊エコノミスト
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