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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

日本の農業の将来が気がかり。ITで問題解決できればいいのですが/138 

Q 日本の農業の将来が気がかり。ITで問題解決できればいいのですが

 日本の農業は担い手不足をはじめ、さまざまな問題を抱えていますが、はたしてこのままでいいのでしょうか? IT(情報技術)で少しでも問題を解決できればと思い取り組んではいるのですが。(ITエンジニア・30代男性)

A 天と人は一つになるとの考え=江戸時代のSDGs「転人一和」をもって解決を図ろう

 たしかに日本の農業はいくつかの大きな問題を抱えています。ご指摘の担い手不足は長年の懸案ですが、そのほかにも耕作放棄地の増加や海外産との価格競争なども深刻です。私も、都市近郊における農地相続問題の悩み相談を受けたことがあります。

 日本にとって農業はやはり重要な産業であり、食料自給率の観点からもこのまま問題を放置するわけにはいきません。最近は労務管理や作業用ロボットの導入などITによって農業の問題を解決しようという動きもありますが、より根本的な発想の転換が求められているように思えてなりません。そこで参考になるのが、日本の思想家安藤昌益(しょうえき)の考えです。

 昌益は「忘れられた思想家」とも称される通り、江戸時代の思想家ながら、日本では戦後まで知られることがありませんでした。が、その思想は決して忘れてはいけない大切な要素を含んでいます。それは農業に関する考え方です。

農業で自然の世を獲得

 彼は、農業を自然による営みととらえ、人間はその自然の摂理に合わせなければならないと説きました。そのため人間は、誰もが労働として農業に従事すべきことを求めたのです。そうしてはじめて、天と人は一つになるという思想「転人一和」を唱えました。昌益は天を転…

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