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国際・政治 ワシントンDC

米国流キャリア形成術「学びは続くよ、どこまでも」=多田博子

「次は何をマスターする?」と呼びかけるジョンズ・ホプキンス大学の広告 筆者撮影
「次は何をマスターする?」と呼びかけるジョンズ・ホプキンス大学の広告 筆者撮影

 ワシントンDCで出会う人には高学歴者が多い。米国人に関しては、基本は大学院修士以上で、MBA(経営学修士)と通常の修士号の複数学位や博士号を持つ人、弁護士であれば複数州の資格を持つ人も珍しくはない。華麗な職歴に加え、論理的かつ早口の英語に、自信たっぷりの風情、気の利いたユーモア、そして笑顔に白い歯。自信喪失と開き直りを繰り返す日々である。

 オバマ政権時には「2020年までに大学進学率を世界一にする」との目標を掲げていたが実現はしていない。とはいえ、21年のユネスコ統計によれば米国の大学(短大含む)進学率は87.9%と、日本の64.1%を上回る。もともと、米国は世界最高水準のハイレベル大学群がある一方、相対的な学力は高くないとの通説で知られているが、オバマ氏の「教育は繁栄の入り口」の言葉通り、大学進学率も上がり、全体的な底上げが図られているようだ。

 米国の特徴の一つは「キャリアに合わせて学び続ける」ということだろう。米労働省の統計では、米国人の平均勤続年数は約4年で過去10年間ほぼ変わらない。米国の雇用体系は、一般的に随意雇用(Employment at will)の原則に基づき、解雇、退職の自由度が高いとされ、 数年働いて自身のキャリアアップのために新たな学位を目指す人も多いのだろう。

小刻みな自己点検

 地下鉄の駅構内では有名大学の多様なコース提供の広告を目にする。夜間やオンラインなど仕事を中断せずに学べる工夫もなされている。あるコースをのぞいてみると、学費は年間7万ドル(約900万円)以上だった。これだけの出費をするのであれば必死に勉強し、良いサラリーの職について元を取ろうとするのは当然だ。米国の経営者の約7割が大学院修士以上とのデータもある。

 不確実性が高い時代に10代、…

残り562文字(全文1312文字)

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