教養・歴史アートな時間

気楽なコメディーがじんわりしみる=勝田友巳

©2020-Gelo Films-ARTE France
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映画 みんなのヴァカンス

ロマンスも事件も起きない男3人組の残念すぎる夏=勝田友巳

 ギヨーム・ブラック監督の作品には、舞台の真ん中で脚光を浴びるような人は出てこない。主人公は、お芝居ならセリフはせいぜい一言か二言、観客の印象にも残らないチョイ役クラス。しかしブラック監督にかかると、ささやかな人生の一瞬が生き生きと輝きを放つ。「女っ気なし」(2011年)も「やさしい人」(13年)も、味わい深く忘れがたい。それなのに、寡作なうえに日本ではあまり公開されず、なんだか残念。「みんなのヴァカンス」は久々の新作である。

 この映画の主人公、看護師のフェリックスも片隅の一人。パーティーで出会ったアルマと意気投合し、彼女が家族と出かけたバカンス先にサプライズで現れようと計画して、親友のシェリフを誘い込んだ。相乗りアプリで見つけたエドゥアールの車に同乗し、川べりのキャンプ場に向かう。

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