米国で経済力格差が拡大 インフレが高止まり、苦境の中・低所得層=岩田太郎
有料記事
米国で物価上昇が高止まりを続ける中、低所得層や一部中間層の苦境が鮮明になってきた。高所得層は影響が比較的少ないと報告されており、「インフレ対応力の格差」が米論壇で議論されている。
米不動産業者協会(NAR)のチーフエコノミストであるローレンス・ユン氏は、8月12日付のニュースサイト「インサイダー」で、「今年4~6月期に中古住宅価格の全米中央値が41万3500ドル(約5600万円)と史上最高を記録し、特に低所得層や中間層の給与上昇ペースを上回っている」と指摘した。
米シンクタンクのアーバン・インスティテュートのケイト・レイノルズ政策部長は8月10日付のブルームバーグの記事で、「月間家賃の全米中央値は5月に史上初めて2000ドル(約27万円)を突破し、賃借人にとっては破滅的な状況だ」と語った。
CNNビジネスも8月14日、米連邦住宅貸付抵当公社(通称フレディマック)のアンケート調査を引用して、「回答者の84%が景気後退を、また約半数が失業を心配しており、62%はこの先1年で住宅費を支払えなくなると懸念している」と伝えた。
ニューヨーク連銀は8月3日、4~6月期の米家計債務が住宅ローンや自動車ローン、クレジットカード残高の増加で16兆2000億ドル(約2160兆円)に達したと発表。一方、セントルイス連銀は個人貯蓄率が2021年12月の8.7%から22年6月に5.1%に低下したと明らかにした。
米経済専門局CNBCは8月11日付番組で、「米生保大手ニューヨーク・ライフの調査では、36%の回答者が22年1~6月に平均617ドル(約8万3000円)の預金を取り崩して生活費に充てたと答えた…
残り653文字(全文1353文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める