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資源・エネルギー 鎌田浩毅の役に立つ地学

発災時に侵攻されても対応できる組織と人材こそ必要

昨年8月に米国を襲ったハリケーン「アイダ」の被害について、連邦緊急事態管理局(FEMA)から説明を受けるバイデン大統領 Bloomberg
昨年8月に米国を襲ったハリケーン「アイダ」の被害について、連邦緊急事態管理局(FEMA)から説明を受けるバイデン大統領 Bloomberg

一向に動かない「防災省」構想/116 

 日本列島は1000年ぶりの「大地変動の時代」に突入した。2011年の東日本大震災で日本列島が東側に5.3メートル移動し、地下の岩盤が不安定化し各地で直下型地震が起きている。今年3月16日深夜に東北を襲った最大震度6強をはじめとする地震も、地学的には東日本大震災が終わっていない表れと考えられる。

 今後は「南海トラフ巨大地震」「首都直下地震」「富士山噴火」という“3大天災”への対応が喫緊の課題となる。南海トラフでは東日本大震災より1ケタ大きな被害が予測され、首都直下でも地震がいつ起きてもおかしくない状況にある。さらに富士山の噴火は南海トラフ巨大地震によって誘発される可能性が高い。

 こうした激甚災害に対して、日本では統括的に取り組む組織がない。米国には大災害発生時に支援活動を統括する連邦緊急事態管理局(FEMA)がある。10年以上前から日本でも「防災省」の構想が出されているが、政治家は天災への対応や危機管理は票にならないので関心が薄い。これまで「デジタル庁」「子ども家庭庁」は実現したが、防災省構想は各省庁の思惑が複雑に絡み、一向に動かない。

安全保障にも影響

 もしFEMAのような横断組織ができれば、平時の最大の仕事は首長と議員を啓発・教育し、国家的危機に迅速に対応できる判断力を身につけてもらうことになる。実は、国内問題にとどまらず、激甚災害がウクライナ戦争のような有事に重なったらどうなるかもシミュレーションする必要もある。

 東日本大震災では宮城県の航空自衛隊松島基地が被災し、戦闘機に相当な被害が出た。災害と戦争が重なる確率は決して低くはなく、日本は安全保障上、極めて脆弱(ぜいじゃく)な立場にあるという認識を、国を預かる政治家は持たなければならな…

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