教養・歴史小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

パワハラを受けていますが、自分の何が悪いのかわかりません/144

Q パワハラを受けていますが、自分の何が悪いのかわかりません

 上司のパワハラに悩んでいます。先輩に相談すると、私自身にも非があるのではないかといわれるのですが、何が悪いのかわかりません。そのせいか、相談窓口に行くのもちゅうちょしてしまいます。(金融業勤務・40代男性)

A 人は自己決定を促すイマジナリーな領域への権利を持つ存在、悩まないで

 日ごろ私たちが、一番わかっているようで実はわかっていないのが「自分という存在」です。私も子供の頃から、親や先生に叱られるたび、その理由がわからず悩んできました。パワハラもそうなのかもしれません。自分にも非があるといわれても、なかなか気づかないのが普通です。もちろん、実際に非がある場合の話ですが。

 この問題については、アメリカの哲学者ドゥルシラ・コーネルの議論が参考になります。コーネルによると、私たちは自己のイメージに基づいて自己決定しているといいます。自己のイメージとは、自分を取り巻く環境によって形成されるイメージのことです。つまりそれは、環境や他者からの反応によって形成されていきます。例えば、他者の反応を鏡のように見て、確認していく感じです。

自己イメージの再確認

 一般にはそうした自己のイメージは、幼少期に形成されるかのように思いますが、実は大人になっても常に形成され続けているのです。コーネルはそんな自己のイメージを形成するという人間の営み、あるいはプロセスを「イマジナリーな領域」と呼んでいます。私たちは皆、自分のイマジナリーな領域への権利を持っているというのです。

 ところが、イマジナリーな領域への権利は往々にして侵害されることがあります。たと…

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