教養・歴史小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

人を惹きつけるプレゼンとは/145

Q 人を引きつけるプレゼンテーションの方法とは?

 もともと人前で話すのが苦手なのですが、最近仕事の関係でプレゼンをする機会が増えて困っています。どうすれば人を引きつけるプレゼンができるようになるでしょうか?(製薬会社勤務・40代女性)

A 相手を知り、緩急をつけクライマックスへ。余韻を残して終わる話の構成を考えよう

 私も人前で話す仕事をしているので、プレゼンの重要性は日々実感しているところです。そこで今日はプレゼンの要諦について、希代のエンターテイナーであり、思想家でもある世阿弥の能の極意を参照したいと思います。

 世阿弥といえば、能を大成した人物として知られていますが、その裏には彼のいくつもの試行錯誤があったようです。だからこそ彼の能は、時代を超えて人々を魅了し続けているのでしょう。

 その中からプレゼンに役立つ三つのポイントをご紹介したいと思います。

 一つ目のポイントは、聴衆との関係です。世阿弥は、事前に観客のことをよく知るよう説きます。相手に合わせないと、いくらいい演技でも引きつけることができないということです。これはプレゼンも同じです。聴衆のレベルやニーズをよく把握しておく必要があります。

秘せずば花なるべからず

 二つ目のポイントは、話し方です。

 世阿弥はこれを「序破急」という言葉で表現しています。つまり、始め、中間、終わりの3段階の舞の進行のことです。序はゆったりとした自然の素直な状態、破は序を破って細かにさまざまに力強く演技を尽くす状態、急は破を尽くした後、さらなる名残の一体として乱舞する状態です。

 こうして自然にかつ徐々に盛り上がっていくことで、人は引かれていくものなので…

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週刊エコノミスト

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