人型アンドロイドの記録は記憶になれるのだろうか 勝田友巳
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映画 アフター・ヤン
小津映画を踏襲した端正な画面
SF的設定で人間の記憶を問う
コゴナダという監督の風変わりな名前は、「麦秋」「東京物語」などで小津安二郎監督と組んだ名脚本家、野田高梧にちなんだという。小津映画へのオマージュをささげたデビュー作「コロンバス」で注目されたコゴナダ監督。SF的設定の新作「アフター・ヤン」では小津映画のスタイルを踏襲しながら、哲学的な問いを投げかける。
開巻から目を引くのは、洗練された様式美だ。主人公一家は緑やベージュを基調とした落ち着いた色彩の家に住み、身に着ける衣装は東洋的だ。感情を押し殺したような表情、ささやくような会話。刺激的な要素を慎重に取りのけて、画面には終始、穏やかな空気が漂っている。
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週刊エコノミスト
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