大阪市美所蔵の名品を館外で一堂に展示する初の機会 石川健次
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美術 美をつくし─大阪市立美術館コレクション
夢見るようにも、物憂げにも
簡潔な表現に尽きない感興
遠くを見渡せる物見台の手すりにもたれ、和服姿の若い女性が深い藍色に染まる夜空を見上げている。図版の作品だ。夢見るようにも、物憂げそうにも見える。簡潔にして妙、いや絶妙。画家が込めた思いにあれこれ心をめぐらせつつ、長くその前にたたずんだ。
東京、京都に次ぐ日本で3番目の公立美術館として開館した大阪市立美術館は、2026年の開館90周年を前に大規模改修工事を行うことになった。長期休館する機会に同館でもそろって展示されることがめったにない名品を館外で一堂に紹介する初の試みが本展だ。「中国美術史の王道を行く作品が日本に存在することは奇跡」(本展図録)と謳(うた)う珠玉の中国美術をはじめ、日本の絵画や仏像など多様なジャンルが、時代も紀元前…
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週刊エコノミスト
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