台湾地震を教訓に南西諸島周辺の大地震&大津波に備えよ
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台湾で直下型地震発生 プレート衝突による逆断層型/118
台湾東部・台東県で9月17日夜から18日午後にかけて最大震度6強を記録する直下型地震が2度発生した。現地時間の17日午後9時41分に起きた最初の地震の震源は、関山鎮の地下7.3キロメートルでマグニチュード(M)は6.4だった。2度目は18日午後2時44分に、池上郷の地下7キロメートルでM6.8の地震が起きた。なお、2016年の熊本地震でも観測されたように、今回も後から規模の大きな本震が起きている。
道路の広範囲でひびが入り、エレベーター内に閉じ込められる事故が多数出た。特に2度目の強い地震では花蓮県の市街地にある中層ビルが倒壊し、現在も犠牲者の数は増え続けている。台湾鉄道の東里駅では駅舎が倒壊し列車が脱線して横転した。また花蓮と台東を結ぶ台東線の全線でレールや橋などが損傷し、特に花蓮県内の秀姑巒渓(しゅうこらんけい)に架かる鉄橋が大きくずれ、復旧に1カ月以上かかるとされた。
琉球海溝に要警戒
地学的には、台湾と日本列島で発生する地震には、フィリピン海プレートの活動という共通点がある。フィリピン海プレートの北部では、琉球海溝と南海トラフを境としてユーラシアプレートの下に沈み込んでいる。これに対して、台湾があるフィリピン海プレートの南部では、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの上に乗り上げている(図)。
今回の地震はフィリピン海プレートがユーラシアプレートに乗り上がった場所にできた花東縦谷(台東縦谷)断層が動いたために起きた。台湾本島を南北に貫く中央山脈(台湾山脈)を形成した断層群で、プレートの乗り上げによってできる「衝上(しょうじょう)断層」と呼ばれるものである。
近年起きている台湾の地震は、ユーラシアプレートとフ…
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週刊エコノミスト
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