NTTは「デジタルツイン」でサイバー空間の「もう一人の自分」を構想する 浜田健太郎
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次世代通信サービスの目玉としてNTTが推進する「デジタルツイン」。サイバー空間で自己を疑似的に拡張することで、人間の可能性を広げるという。>>特集「メタバース&Web3.0のすごい世界」はこちら
NTTグループが社運を懸けて推進する次世代情報通信ネットワーク構想の「IOWN(アイオン)」。電子データ処理と光伝送機能を接合する「光電融合」や、将来的な「光の半導体(光信号で動く半導体)」を土台として、従来に比べて格段に高速かつ低消費電力のICT(情報通信技術)サービスの提供を目指す。NTTは、光電融合の導入を2026年ごろ、光の半導体の実用化を30年以降と想定する。
NTTがIOWNの提供サービスの柱の一つに据えるのが、「デジタルツイン・コンピューター(DTC)」だ。「実世界から収集したデータを『デジタルの双子』としてサイバー空間で再現するもの」(NTTの澤田純会長)。通信ネットワークの高速・大容量化に伴い、流通するデータの情報量も増やすことができる。デジタルツインをその際のキラーコンテンツにする狙いがあるようだ。
同社は、4領域に焦点を当ててデジタルツインの研究開発を進めている。そのうち、メタバースに近いのが、「アナザー・ミー」の研究だ。直訳すると「もう一人の自分」。NTTの説明資料には「自己概念の拡張」とある。
人間の内面もデジタルに
NTTデジタルツインコンピューティング研究センタ長の中村高雄氏は「自分自身のデジタルツインのこと」と説明。「現実世界で自分が仕事をしている間に、アナザー・ミーが別の仕事をする、ボランティアにいそしむ、メタバース空間で友達を作るなどの経験を蓄積して、それを自分の中に取り込んで、自らの人生の機会を10倍に増やす。そんなコンセプト」だという。配偶者や子ども、親友とも違う「掛け替えのないパートナーになる」(中村氏)という。
しかし、デジタル空間で現実…
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週刊エコノミスト
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