ハイテクなど新型インフラに注力の中国、「ギガビット都市」も当たり前?! 神宮健
中国の景気回復が全体としてもたつく中、比較的高い伸びを示している経済指標もある。
今年1~8月期の工業生産は全体で前年同期比3・6%増にとどまったが、ハイテク製造業は同8.4%増。固定資産投資が全体の同5.8%増に対し、ハイテク投資は同20.2%増に上った。計算機・通信・その他電子設備製造業などの伸びが高い。
ハイテク分野を重視した政策も採られている。9月に国家発展改革委員会(発改委)は、地方債発行や政策金融などにより、新型インフラ建設を後押しすると発表した。また、中国人民銀行(中央銀行)は、金融機関へ2000億元(約4兆700億円)以上を中銀貸し出しとして提供。金融機関がそれを資金に新型インフラ施設、産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)などを含む10分野の設備更新改良のために、企業へ貸し出すことを支援するとした。
広がるギガビット都市
新型インフラとは、発改委によれば3種類ある(2020年4月)。第一は、情報インフラ。5G(第5世代移動通信システム)▽モノのインターネット(IoT)▽衛星インターネットなどの通信インフラ▽AI(人工知能)▽ブロックチェーンなどの新技術インフラ▽データセンターなどの計算力インフラ──などが含まれる。
第二は融合インフラだ。インターネットやビッグデータ、AIなどの技術による伝統的なインフラの高度化を指し、スマート交通、スマートエネルギーのインフラなどがある。第三は、イノベーションに向けたインフラで、科学研究、技術開発、製品研究などを支える公益的なインフラとしている。
ここで高速データ通信と計算能力を見ると、5G基地局は今年7月末に196.8万局(21年末は142.5万局)となり、各地方の計画ではさらに増加する。北京、上海など29都市が既…
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週刊エコノミスト
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