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新エネ車のシェア2割超え、普及拡大への分岐点到達か 真家陽一

中国の新エネ乗用車販売台数で首位となったBYDのNEV(北京市内) 筆者撮影
中国の新エネ乗用車販売台数で首位となったBYDのNEV(北京市内) 筆者撮影

 中国で電気自動車(EV)を中心とする新エネルギー自動車(NEV)の販売が拡大している。2015年の販売数は33万台で、自動車全体でのシェアは1.3%にすぎなかったが、21年は前年比2.6倍の352万台と急増、シェアも13.4%に達した。

 22年に入っても好調で、1~9月期の販売台数は前年同期比2.1倍の457万台と、すでに21年通年の台数を超えた。全体に占めるシェアも23.5%に上昇し、中国政府が20年11月に公表した「新エネルギー自動車産業発展計画(21~35年)」で掲げた「25年に20%前後」との目標を上回った。

 政府はこれまで①製造業の高度化(次世代NEVでグローバルスタンダードを握る)、②経済安全保障(原油の輸入依存度の低下)、③大気汚染対策(PM2.5の発生抑制)などに資するNEVを普及させることで、「自動車大国」から「自動車強国」への転換を図るべく政策を打ち出してきた。

 また習近平国家主席が20年9月の国連総会で「30年までの二酸化炭素(CO₂)排出ピークアウト、60年までのカーボンニュートラル(CN)の実現を目指す」、いわゆる「3060目標」を表明したことで、CN政策の観点からもNEV推進に拍車がかかっている。

 具体的には、NEVの販売促進に向け、需要面では車両購入税(車両価格の10%)免税や補助金支給などの支援措置を講じてきた。また、渋滞対策などを目的に自動車登録に規制を設けている都市において、NEVについては登録に必要なナンバープレートが無料、または規制の枠外とするといった優遇措置も行ってきた。

 こうした措置がNEVの販売拡大に貢献したのは確かだが、注目されるのが21年以降、自動車登録に規制のない都市でもNEVの販売台数が大幅増加していることだ。中国のNE…

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