習氏3選で短期的ビジネス環境に変化なし 岸田英明
10月の中国共産党大会を経て、第3次習近平指導部が発足した。任期は2027年まで。69歳の習氏は、胡錦濤政権以降の「68歳以上は指導部入り不可」との不文律を破り、最高指導者の座にとどまった。さらに周りを側近たちで固め、党規約の改正も一部行い、権力と権威をさらに高めた。中国のビジネス環境は変わるのか。
政策のポイントは継続性が挙げられる。日本企業のビジネスにとって好ましくないものも含まれるが、ある意味で見通しはきく。党大会報告を読むと、重要なビジョンは全て維持されている。
規制緩和や対外開放を通じて内需を拡大させる「国内国際双循環」▽ハイテク分野の米中デカップリングに備えて重要技術の内製化を目指す「自立自強」▽低所得層の底上げと中間層拡大を図る「共同富裕」▽持続可能な発展に向けて脱炭素などを進める「生態文明」▽「総体的国家安全観」に基づく食糧やエネルギー安全保障の確保▽台湾統一や海洋権益確保に向けた「強軍」の構築▽経済協力を通じて国際社会での影響力を高める「一帯一路」──などが、引き続き推進される。
ゼロコロナ政策も維持される。防疫上の理由もあるが、習氏にとってこの政策は、共産党指導体制と中国の進んだデジタル技術の融合により、内外に「体制の優位性」を示した象徴的な政策で、安易な取り下げはできない。
一方で格差問題でも、市場改革でも、中国では習政権2期10年の取り組みを不十分とする声も少なくない。中国の有識者からは「党内の左派右派ともに習近平に不満を持つ」とも聞く。対外関係でも、一帯一路を巡る不良債権拡大への警戒が中国の金融機関で強まっているほか、アジア太平洋主要国(日米韓豪)との関係を軒並み悪化させた外交への批判もある。
そして習指導部は、コロナや米中対立などの逆風の中、足元…
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週刊エコノミスト
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