習体制3期目に株式市場が示した強い警戒感 酒井昭治
有料記事
中国共産党は5年に1度の最重要会議・共産党大会を終え10月23日、今後5年間を担う新最高指導部7人を発表した。習近平国家主席続投が正式に決まり、指導部が習氏に近い面々で固められた上、習氏と距離があるとされる「若手のホープ」胡春華氏の降格を受け中国内でも想定以上に一極化が進んだと受け止められた。
株式市場では、経済成長より中国共産党の思想強化が優先されるとの見方や、習氏のブレーキ役が不在となる懸念から、発表翌日の10月24日は海外投資家を中心にリスク回避の売りが広がった。
香港ハンセン指数はマイナス6.4%と急落、約13年半ぶりの安値水準だ。中国内の投資家が主体の本土市場でも上海総合指数がマイナス2.0%と下落。国家統計局が第3四半期のGDP(国内総生産)発表を説明なく延期するなど投資家軽視の動きも重なり、24日の海外投資家による香港経由の本土A株投資は179億元の売り越しと、単日で過去最高の資金流出を記録した。
香港市場で下落したセクターをみると、近年の中国政府による規制強化に苦しんだ業界が並ぶ。筆頭はネット通販や出前配送アプリ運営などのネット関連大手だ。独占禁止法や労働者への待遇改善指導など締め付けは厳しく、更なる規制強化への懸念が膨らんだ。
新エネ車関連すら下落
金融リスク圧縮のために整理が続く不動産セクターも売られた。足元では物件購入後の受け渡しへの不安から新築住宅販売は軟調な推移だが、政府は高騰する不動産価格への対処を続ける方針とみられ、同業界へは不透明感が残る。この他、税金優遇策など政府支援で販売拡大が続く新エネルギー車(NEV)メーカーなども大幅に売られており、業績とは関係なく中国市場から一旦、資金を引き揚げる動きがあるとみられる。
党大会で発表された「活動報告」…
残り629文字(全文1379文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める