習氏“3期目”に疑問符が付くいくつかの理由 金子秀敏
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10月1日の国慶節(建国記念日)前夜、中国政府主催のレセプションが開かれた。メインテーブルには習近平国家主席ら共産党中央政治局常務委員7人と王岐山国家副主席が座った。
李克強首相が祝辞を述べた。「改革開放はわが国の基本国策」と力説し、香港問題では「1国2制度」や「高度の自治」の堅持、台湾問題では「平和統一」を強調した。習氏との違いは明確だ。
約1週間後の9日に共産党第19期中央委員会第7回全体会議(7中全会)、16日には第20回党大会開幕という日程だ。党大会で習氏は総書記3選を目指す。だが、宴席の習氏の顔には覇気がない。
習氏と李氏がワイングラスで乾杯する画像がネットに広がった。李氏は笑いを浮かべて習氏を正視しているが、習氏は目を伏せていた。9月15日、ウズベキスタンでプーチン・ロシア大統領と会談した時に習氏がうつむいていたのを連想させる。習氏の政治的オーラが急速に低下してきた。
露に肩入れが裏目
北京では「習氏は7中全会で健康を理由に名誉ある引退を表明する」という観測も流れた。
10月3日、米国のキッシンジャー元国務長官がニューヨークのアジア協会でスピーチした。キッシンジャー氏は最近、国連総会に出席した王毅外相の訪問を受けている。「習氏はロシアのウクライナ侵攻が成功すると誤判し、たいへんな白紙小切手を渡してしまい、いまその処理に追われている」。
習氏は2月の中露首脳会談でプーチン氏に「上限のない協力関係」を約束していた。早く軌道修正をしないと欧米から制裁を科されると恐れているが、軌道修正すればプーチン氏を怒らせ、習氏が台湾併合をする時にロシアの協力を得ることは難しくなる。
党内ではウクライナ軍の反攻が始まってから習氏の政治責任を問う声がさらに高まった。
4日、香港の新聞『星…
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週刊エコノミスト
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