教養・歴史著者に聞く

ゼロ金利で資本主義が無意味になった今こそ最も豊かな時代では 浜條元保(編集部)

『次なる100年 歴史の危機から学ぶこと』 著者 水野和夫さん(経済学者)

資本主義はもはや限界 近代を終わらせよう

「近代を終わらせようというのが、本書の主張です」

 資本主義を考え続けてきた経済学の専門家が書き上げた927ページに及ぶ大著である。日本は1990年代後半から事実上ゼロ金利に突入し、それから四半世紀以上が経過した。「ゼロ金利」の状態こそが「常態」であって「例外」ではないので、成長至上主義の近代を終わらせようと、主張する根拠だという。

「10年先の豊かさを待つという我慢をせず、現在が最も豊かであると認識しよう、というのがゼロ金利の発するメッセージだと思います」

 90年代後半に長期金利が2%を割り込み、その後、経済対策によって景気が回復しても2%を超えることはなかった。足元では、金利が上昇傾向にあるものの、ドイツやフランスでも、一時ゼロ金利やマイナス金利となった。もはや金利は「経済の体温計」ではなくなった。

「記録に残っている世界の最低金利は、1619年のイタリア・ジェノバの1・125%。当時のイタリアで何が起きたのかを調べると、主力産業だった農業(ぶどう栽培)で開拓する土地がなくなった状態。すなわち、投資先がなくなったことを意味します。イタリアと同じことが日本でも起きていると理解しました。つまり、国内に有力な投資先がなくなったのです。だから企業は海外に出ざるを得ない」

 資本の蓄積は、人類の危機時に救済するためという大義名分の下で許されてきた。しかし、現実にはそうでなかった。

「『SAVE』という言葉には、『貯蓄』以外に危機に備えて『救済』するという意味があります。資本家の貯蓄は、危機の際に困窮者を救済するから、蓄積が許されたのです。しかし現実には、リーマン・ショックはじめ経済危機やコロナの世界的大流行の状況下でも、資本家が救済に向かったとは聞きません。危機のために内部留保…

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週刊エコノミスト

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