穏やかで自制的で自分を持て余す人々の滑稽さといじましさ 勝田友巳
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映画 窓辺にて
8人5カップルの恋愛群像劇
今泉力哉監督は、もつれた男女の恋愛劇ばかり撮ってきた。「アイネクライネナハトムジーク」でも「街の上で」でも「猫は逃げた」でも、描かれるのは恋する男女のジタバタする姿だ。彼らの「好き」を丹念に微細に観察し、ちょっとずつ違う角度から光を当てる。今回は「妻の浮気を知っても腹を立てない男」が中心となった群像劇である。
フリーライターの茂巳(稲垣吾郎)は、編集者の妻紗衣(中村ゆり)が作家の荒川(佐々木詩音)と浮気していることに気付いている。それなのに怒りがわかず、自分は感情が乏しい欠陥人間なのかと煩悶(はんもん)する。
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週刊エコノミスト
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