教養・歴史アートな時間

黙々と地方に暮らす生活者たちのリアル 寺脇研

©2022 FILM UNION MANIWA SURVIVAMCE
©2022 FILM UNION MANIWA SURVIVAMCE

映画 やまぶき

主演俳優も監督も物語の舞台へのリアル移住者

 山吹色というくらい鮮やかな色の花をつけるヤマブキは、バラやランほどでなくとも派手なイメージがあった。ところが、この映画の題名になった訳は「陽(ひ)の当たりづらい場所にしか咲かぬ野生の花」なのだという。脚本も手がけた山﨑樹一郎監督は、ヤマブキが多く咲く岡山県山間部の田舎町・真庭で農業を営んでいるのだから、間違いはないだろう。「控えめながら力強く咲く」ヤマブキに、地方で黙々と暮らす無名の生活者たちを重ね合わせたというネーミングには納得させられる。

 地方消滅の危機が叫ばれ、政府がにわかに「地方創生」を掲げたのは8年前。だが、一部の例外を除き一向に状況が好転する気配はない。東京から地方を見る者にはわからなくても、地方に住む側からすれば深刻だ。職を求めて集まって来るのは外国人や訳ありの人間で、地元の若者たちはどんどん都会へ流出していく。

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