教養・歴史アートな時間

ともに生誕150年の美術と鉄道が交錯した軌跡 石川健次

立石大河亞《香春岳対サント・ビクトワール山》1992年、田川市美術館
立石大河亞《香春岳対サント・ビクトワール山》1992年、田川市美術館

美術 鉄道と美術の150年

 美術と鉄道は今年、誕生から150年目を迎えた。日本での話だ。えっ、美術も?と思った人は多いに違いない。はるか昔、例えば平安時代から鎌倉時代にかけての作とされる《鳥獣人物戯画》など、古くから多くの絵が描かれてきたはずだ。実は「『美術』という言葉が、それまでの『書画』などに代わって日本で初めて使われた」(本展図録)のが、日本初の鉄道が新橋と横浜の間で開業したのと同じ1872年だった。

 鎖国をやめ、近代化に踏み出した日本が初めて公式に参加した万国博覧会は、翌年のウィーン万博だ。「美術」という言葉は、万博へ参加する際、翻訳語として採用された造語だ。鉄道が美術の主題となるなど「鉄道が美術を触発し、時には美術が鉄道を挑発」(同)しつつ並走し、交錯する150年を、絵画や写真など貴重な作品を通して本展は読み解く。

残り1038文字(全文1405文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月9日号

EV失速の真相16 EV販売は企業ごとに明暗 利益を出せるのは3社程度■野辺継男20 高成長テスラに変調 HV好調のトヨタ株 5年ぶり時価総額逆転が視野に■遠藤功治22 最高益の真実 トヨタ、長期的に避けられない構造転換■中西孝樹25 中国市場 航続距離、コスト、充電性能 止まらない中国車の進化■湯 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事