国際・政治闘論席

半導体競争でようやく危機感を持った経産省 古賀茂明

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

古賀茂明の闘論席

 先日、経済産業省の関係者が嘆くのを聞いた。

──アメリカに産業政策を教えてもらうなんて、経産省のDNAはどこへ行ったのか──

 日本の産業は、1980年代に「ジャパン・アズ・ナンバーワン」といわれるほどの隆盛を極めた。しかし、「失われた30年」を経て、日本産業の衰退は著しい。その代表例である日本の半導体産業のシェアは過去30年間で50%から10%まで低下した。経産省が有識者会議でそれを示した資料のタイトルには「日本の凋落(ちょうらく)」と書かれていた。同省が敗北を公に認めたのだ。

 今や、半導体を制する者が世界を制するといわれる。日本は世界断トツだったのに、量だけでなく技術レベルでも、台湾、韓国のはるか後塵(こうじん)を拝し、米国にも逆転を許した。その米国では、インテル社が最先端半導体開発で一度は韓・台勢に敗れたものの、再度復活をかけて大規模投資に踏み切った。その背後には、米国の強力な補助金政策がある。これと競うように、韓・台に加え、欧州・中国も巨額の補助金を出す。産業政策…

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