国際・政治闘論席

半導体競争でようやく危機感を持った経産省 古賀茂明

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

古賀茂明の闘論席

 先日、経済産業省の関係者が嘆くのを聞いた。

──アメリカに産業政策を教えてもらうなんて、経産省のDNAはどこへ行ったのか──

 日本の産業は、1980年代に「ジャパン・アズ・ナンバーワン」といわれるほどの隆盛を極めた。しかし、「失われた30年」を経て、日本産業の衰退は著しい。その代表例である日本の半導体産業のシェアは過去30年間で50%から10%まで低下した。経産省が有識者会議でそれを示した資料のタイトルには「日本の凋落(ちょうらく)」と書かれていた。同省が敗北を公に認めたのだ。

 今や、半導体を制する者が世界を制するといわれる。日本は世界断トツだったのに、量だけでなく技術レベルでも、台湾、韓国のはるか後塵(こうじん)を拝し、米国にも逆転を許した。その米国では、インテル社が最先端半導体開発で一度は韓・台勢に敗れたものの、再度復活をかけて大規模投資に踏み切った。その背後には、米国の強力な補助金政策がある。これと競うように、韓・台に加え、欧州・中国も巨額の補助金を出す。産業政策…

残り413文字(全文862文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

10月3日号

金利ある世界18 長期金利の居場所の探り合い 10年国債が主役に復活する日■稲留克俊21 絶えざる資産インフレとデフレ■水野和夫22 ドル・円 米金利上昇で景気失速、金利低下 1ドル=130円の円高を目指す■吉田恒24 日本株 企業に生じた「インフレ利得」 「マイナス金利」が追い風に ■黒瀬 浩一2 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事