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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

能力も経験も違う人たちをまとめるいい方法はありませんか/150

中井正一(1900~1952年)。日本の哲学者、社会運動家。京都学派の流れをくみ、中井美学と呼ばれる独自の美学理論を構築。著書に『美学入門』などがある。(イラスト:いご昭二)
中井正一(1900~1952年)。日本の哲学者、社会運動家。京都学派の流れをくみ、中井美学と呼ばれる独自の美学理論を構築。著書に『美学入門』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 能力も経験も異なる人たちをチームとしてまとめるいい方法はありませんか

 能力も経験も異なる人たちを、一つのチームとしてまとめなければならない立場なので、困っています。何かいい方法はないものでしょうか?(IT企業勤務・40代女性)

A 「ミッテル」という概念のもと、異質のものを同質のものとしてまとめよう

 チームをまとめる際に一番苦労するのは、能力や経験の差だと思います。その差を乗り越えて、同じタスクに共同で取り組む。それを実現させるのはたしかに困難なことです。そこで参考にしたいのは、日本の哲学者・中井正一の思想です。

 中井は芸術やメディアについて論じた哲学者であり、また啓蒙(けいもう)活動に従事した活動家でもあります。

 その彼が切り口にしたのが、「ミッテル」という概念です。もともとは中間や仲介を意味するドイツ語ですが、中井はそれを知識人と大衆という異質なものを同質のものとしてまとめるための媒介という文脈で使いました。

 そうしてミッテルの概念のもと、実際に知識人と大衆がコラボレーションするような媒体、例えば読者の投稿で作られる新聞などを主導しました。

 もちろん知識人と大衆では視点も感覚も異なります。しかし、ミッテルによって共通感覚を紡ぎ出すことで、両者は同質になりうると考えたのです。問題はその共通感覚をどうやって生み出すかです。ここで中井は、五感の組み替えに着目します。

五感組み替え自由…

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