マーケット・金融グラフの声を聞く

香港「金融危機」なら英国も深手 市岡繁男

 国際決済銀行(BIS)が発表した今年6月時点の不動産価格指数をみると、実質値では56カ国中、4割が前年を下回った。前期比では全体の6割が下落し、金利上昇が世界の不動産市況を暗転させている。

 とはいえインフレ調整後の価格が下落しても大した影響はない。問題は名目上の価格が下落する場合で、その状態が続けば銀行などの不動産担保融資が不良債権化してしまう。名目値が下落した国は今、中国など四つあるが、中でも前年比下落率が大きい香港の動向が懸念される。

 香港では2019年以降、市民が自治を巡って中国政府と対立し、大規模デモが相次いだ。それに伴って株価も大きく下落し、今や18年2月のピークから半値に沈んでいる。これに対し不動産価格は横ばいで推移し、まだ安定を保っているようにみえる(図1)。だが先日、発表された香港の7~9月期の国内総生産(GDP)は前年比4.5%減と3四半期連続のマイナスであり、実際の不動産市況はかなり悪化しているはずだ。

残り193文字(全文611文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事