千葉・茨城で連発した内陸地震は今後も頻発の恐れ
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1000年ぶりの大変動と100年ぶりの海溝型地震が重なる状況/124
11月9日に茨城県南部を震源とする最大震度5強を観測する地震が起き、関東甲信越から東北の広い範囲で震度4の揺れを観測した。震源の深さは50キロメートルで、マグニチュード(M)は5.0だった。その6日前の11月3日には、千葉県北西部を震源とする有感地震が3回連続して発生しており、最も大きな地震は深さ70キロメートル、M5.0で、埼玉県や東京都などで最大震度3を観測した。
茨城県と千葉県の地震は、陸側の北米プレートの下に沈み込む海側のフィリピン海プレートとの境界付近で発生した。内陸地震の多くは、地下深部で岩盤が割れた痕跡を地上に残した「活断層」の近傍で発生することが多いが、その他にも今回のように海と陸のプレート境界が地下深部で動く「地震の巣」でも頻繁に発生する。茨城県北部では2016年12月にもM6.3の地震が起きている。
茨城県と千葉県の地震は、いずれも地盤に圧力がかかることで割れる逆断層型の地震で、11年の東日本大震災によって活発化した直下型地震の一つである。すなわち、M9.0という超巨大地震によって日本列島の地盤に大きなストレスが加わり、それを解消しようとして内陸地震が多発している(本連載第11回を参照)。今後数十年ほどは現在のように直下型地震が頻発する状況が続くと予想される。
ちなみに、M9クラスの海溝型地震が東北沖で発生したのは1100年以上前の貞観地震(869年)以来で、日本列島は1000年ぶりの「大地変動の時代」の真っただ中にある。さらに、日本列島では内陸地震が増加するもう一つの要因がある。2030年代に発生が予測される南海トラフ巨大地震に伴う陸域の地震である。これは100年ぶりに起きる海溝型地震で、強震動とともに大きな津波の発生が予測されている。
具体的には、静岡県から宮崎県までの広範囲で最大震度7の強い揺れに見舞われ、高知県と和歌山県の太平洋岸では最大高34メートルの津波が襲う。国の中央防…
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週刊エコノミスト
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