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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

管理職になれるかどうか不安。順番を待つしかなくもどかしいです/152

鷲田清一(1949年〜)。日本の哲学者。専門は臨床哲学、倫理学。身体やコミュニケーションのあり方について独創的な哲学を提起している。著書に『モードの迷宮』など。(イラスト:いご昭二)
鷲田清一(1949年〜)。日本の哲学者。専門は臨床哲学、倫理学。身体やコミュニケーションのあり方について独創的な哲学を提起している。著書に『モードの迷宮』など。(イラスト:いご昭二)

Q 管理職になれるかどうか不安。順番を待つしかなくもどかしいです

 最近は会社でのポストが少なくなっており、管理職になれるかどうか不安です。運に委ねるしかないところもあるので、順番を待つしかないのですが、もどかしくて仕方ありません。(素材メーカー勤務・40代男性)

A 期待が成立しない段階で始まるのが「待つ」という行為。やってみませんか

 今は本当にそういう時代ですよね。頑張っていてもポストの削減で出世できないとか、管理職になれないといった話をよく耳にします。だからといってやる気をなくしてしまっては、チャンスも訪れません。だから待つよりほかないのですが、それはそれでつらいことですよね。

 そこで参考にしたいのが、哲学者の鷲田清一が説く「待つ」ことの意義です。鷲田は、現代を「待たない社会」「待てない社会」であると診断したうえで、本当の意味で待つとはどういうことなのか問います。

 そしてそれは、待つことの終わりが到来する保証がないところ、つまり期待ということが成り立たないところでこそ、始まるというのです。人や出来事が必ず訪れるとわかっているうちは、まだ待っているとはいえないということです。そこには期待がありますから。

 待つという行為がつらく感じるのは、いつ終わりが来るかわからない時です。だとすると、鷲田のいうように、待つことに対する保証がなくなることこそが、待つという事態を可能にするわけです。

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