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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

政教分離を国民としてどう考えたらいいですか/153

セシール・ラボルド。フランス出身の政治学者。英オックスフォード大学教授。政治と宗教の関係について研究している。著書に『Liberalism's Religion』(未邦訳)などがある。(イラスト:いご昭二)
セシール・ラボルド。フランス出身の政治学者。英オックスフォード大学教授。政治と宗教の関係について研究している。著書に『Liberalism's Religion』(未邦訳)などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 政教分離について、一国民としてどう考えたらいいでしょうか

 安倍晋三元首相の銃撃事件以来、政治と宗教の関係が取りざたされていますが、両方を切り離すのはなかなか難しいようですね。一国民としてどのように考えたらいいのでしょうか?(医療事務職・40代男性)

A 「最小限世俗主義」の考えのもと、広く承認を得るため政治的審議の場を作ろう

 いわゆる政教分離の問題ですね。一般には、政治と宗教は互いに干渉し合わないように分離した方がいいと考えられています。もともとは西洋の歴史において、カトリック教会が政治を支配することによって混乱がもたらされた反省に基づいています。そのためフランスにはライシテという厳格な分離を定めた法律が存在します。アメリカでも判例において、厳格な分離を実現するための基準が確立されてきました。

 日本でもアメリカにならい、憲法で制度としての政教分離を保障していると解釈されています。また裁判では、目的と効果に着目する目的効果基準という考え方が導入されています。とりわけ日本では戦前の国家神道の影響もあって、今も国家による神社への公的支出をめぐって裁判が起こされるケースが多いといえます。

 ただ、現状の目的効果基準はあいまいなため、批判があります。そこで今回参考にしたいのは、フランス出身の政治学者セシール・ラボルドによる「最小限世俗主義」という新しい考え方です。

政・教の関係を再考

 ラボルド…

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