日本の活断層/1 中央構造線/下
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「直下型地震の巣」として警戒/126
中央構造線は日本で最も長い地質構造線だが、その中央部は「中央構造線断層帯」として第一級の活断層に指定されている。これは奈良県と大阪府の境にある金剛山地を東の端とし、四国を東西に横断して西は大分県に達する全長約500キロメートルの活断層帯である(図)。特に全国の活断層の中でも、地震を起こす間隔が短いことで知られ、「直下型地震の巣」として警戒されている。
一般に、最近数千年の間に繰り返しずれ動き、近い将来にもずれ動く断層を「活断層」と呼ぶ。新規に地震が発生し新しい活断層ができる場合もあるが、多くは古い断層を利用して再活動を繰り返した結果、地表に直線上の崖などの地形を残し、活断層として認定される。
また、「断層」は地下深部で起きた地震によって地盤に生じたズレ面を言い、「構造線」とは断層が長い時間に繰り返し動いた結果、地盤に大きな地質の境界線が生まれた場所を指す。すなわち、中央構造線断層帯は、中央構造線に沿って幅数キロメートルの範囲に断層の集合体が地下に存在する場所であり、近い将来にそのどれかが動く可能性が極めて高い。
ちなみに、過去のプレート運動の集積として生じた「地質境界としての中央構造線」と、繰り返される断層活動の集積である「活断層としての中央構造線」が、場所によっては数キロメートルほど離れていることもある。
大分含め10区間
600万年もの間、右横ずれ断層運動を起こしてきた中央構造線の中で、いくつかの区間は活動度が高いため、今後の動きが特に警戒される地域として指定されている。中でも近畿地方~四国西部は活動度が高いため、政府の地震調査委員会は「中央構造線断層帯」と名付け、地震の発生確率の評価を行ってきた。
これまで近畿地方から四国西部までの360キロメートルが認定されていたが、前回で解説したように、中央構造線が「大分─熊本構造線」と連続することから、九州東部までの全長444キロメートルを17年に再認定した。具体的には、大分県の別府湾と由布…
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週刊エコノミスト
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