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コロナ禍で得た時間に古楽器研究 庄司紗矢香が新境地を披露 梅津時比古

庄司紗矢香(左、バイオリン)とジャンルカ・カシオーリ(右、フォルテピアノ)
庄司紗矢香(左、バイオリン)とジャンルカ・カシオーリ(右、フォルテピアノ)

クラシック 庄司紗矢香&ジャンルカ・カシオーリ・デュオリサイタル

 コロナ禍は、売れっ子の演奏家に、思いもよらぬ時間を与えた側面はある。次から次へコンサートのために時間を取られていた演奏家が、2020年以降、少なくとも2年間はコンサートが激減して、そのぶん時間ができたのである。

 その時間の使い方によって、実は、今、演奏家に影響が出てきているともいえるだろう。以前、このコーナーでも取り上げたフランスのピアニスト、エマールによる、メシアンのピアノ独奏曲の代表作《鳥のカタログ》(全13曲で約150分かかる大作)が東京オペラシティ コンサートホールで演奏されたことも、コロナ禍の時間とまるで関わりないことはないだろう。そのご報告を行うと、キバシガラス、イソヒヨドリ、ダイシャクシギなど何十種類もの鳥の鳴き声の迫真の音形を通して、聴き手の私は、自然の風、光の変化、葉の緑、宇宙の青と一体化し、音楽の本質について、改めて考える貴重な体験をした。

 ここでご紹介したいのは、バイオリンの庄司紗矢香である。皮相にとらわれずに、本質のみを追究してきた彼女はコロナ禍で得た時間をどのように用いたか。

 ピリオド楽器(古楽器)の研究に充てたというのである。ピリオド楽器が盛んになってきたといって、すぐ手にする彼女ではない。十分に研究して、自ら納得して踏み切るのが彼女の性格である。その時間をコロナ禍の余波で得られたという。

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