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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

コロナ後の大変革、生き抜くため今後の方針の立て方は/156

ポール・リクール(1913~2005年)。フランスの哲学者。物語論の代表的論者として知られる。著書に『記憶・歴史・忘却』などがある。(イラスト:いご昭二)
ポール・リクール(1913~2005年)。フランスの哲学者。物語論の代表的論者として知られる。著書に『記憶・歴史・忘却』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q コロナ後の大変革、生き抜くため今後の方針の立て方は

 コロナ禍での制約が次々と取り払われ、これから世の中が大きく変わりそうな予感がしています。どのようにして今後の方針を立てていけばいいでしょうか?(中小企業経営者・50歳男性)

A 既存の社会秩序や権威をただす役割持つ新ユートピアの概念をヒントに考えよう

 コロナ後とはいえ、今後は常にパンデミックへの備えは必要ですし、戦争にしてもいつどこで起きるともわからない不安定な世界情勢です。さらにそれらとも関係してエネルギー問題や物価高といった問題も起こっています。

 このように、世の中が大きく変わるといっても不安な要素の方が多いわけです。だからこそ、政治家や経営者といったリーダーは、希望あふれる方針を掲げる必要があるでしょう。そこで参考になるのが、フランスの哲学者ポール・リクールの論じたユートピアの概念です。

 もともとユートピアとは、イギリスの作家トマス・モアの作品に登場する現実には存在しない理想郷を意味する言葉で、決して新しい用語ではありません。

 ただリクールは、このユートピア概念をイデオロギーという概念と対比することで、そこに新たな意味を付与したといっていいでしょう。

希望は現実に根差す

 つまり、イデオロギーという真実性に対して、それを問い直すものとしてユートピアを位置づけたのです。いわば既存の社会秩序や権威を問い直す外部としての役割です。だ…

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