“スウィフティーズ”は米大統領選を揺るがすか 溝口健一郎
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筆者が米人気歌手、テイラー・スウィフトのコンサートでワシントンDC郊外のフェデックスフィールドスタジアムに行ったのは、2018年7月のことだった。会場の盛り上がりは素晴らしく、テイラーのスター性を実感した。この時以来となるツアーが23年3月にスタートする。
22年11月15日にチケットマスターがツアーチケットの先行販売を始めた数時間後には、販売するサイトがダウンした。チケットマスターは150万人の購買を想定していたが、実際は1400万人が購入を試み、システムへのアクセスは35億回に達したという。ファンの一部は販売方法を巡り、チケットマスターを提訴した。
テイラーの人気、影響力はすさまじい。グラミー賞を11回受賞。10月発売の新アルバム「ミッドナイツ」の曲は、ビルボードのトップ10を独占。インスタグラムのフォロワーは2億人以上になる。現在最高のポップスターといえるだろう。心地良く豊かなメロディーとプライベートな経験を歌う詞が、人々を引きつけるのだ。
テイラーの熱狂的ファンは「スウィフティーズ」と呼ばれ、彼女を崇拝している。スウィフティーズはテイラーの作品を批判した人物にネットで攻撃を仕掛けることさえある。テイラーの人気を支える要素の一つがファンとの距離の近さでもある。絶えずファンとのコミュニケーションを重視し、時に社会的困難を抱えているファンに金銭的支援をすることもある。
民主党議員を支持
04年のデビュー以降、ファンに政治面での影響を与えたくないとして、テイラーは政治的発言を控えていたが、トランプ大統領時代の中間選挙の年である18年から積極的な発言を開始するようになった。当時、自身が選挙権を有するテネシー州において特定の上院議員、下院議員への支持を表明したのである。いずれも民…
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週刊エコノミスト
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