協力の糸口見いだせぬ米中 冷静な分析求められる日本 鈴木洋之
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バイデン政権は、1月20日で発足から3年目を迎えるが、外交政策の最優先課題は、「対中政策」が不動の地位を確保し続けている。2022年2月のロシアによるウクライナへの大規模侵攻以降は、対露政策も対応すべき喫緊の課題とされているが、基本的には、全ての外交政策が、そして、国内の経済・産業政策までもが、中国への対抗で捉えられている。同10月に発表した国家安全保障戦略でも、中国を「唯一の競争相手」と位置付けた上で、同盟国との関係を強化して対抗する姿勢を打ち出している。他方、この2年間で、バイデン政権の対中アプローチの変化も感じるところだ。
政権発足当初、バイデン政権高官は、トランプ政権時の「Confrontation」(対立)から、「Competition」(競争)と「Cooperation」(協力)も加えた三つの「C」のバランスで対中政策を再構成するとの見方を示していた。しかし、今や、ワシントンDCで聞こえてくるのは「競争」ばかりで、「対立」や「協力」の声は、ほとんど聞こえてこない。
まず「対立」が鳴りを潜めている理由としては、グローバル経済に依拠する米国としても、中国の存在は認めざるを得ないし、完全なデカップリング(切り離し)も難しいということだろう。特に、インフレ抑制が喫緊の政策課題となってからは、中国も含めた世界全体のエネルギーやコモディティー(商品)価格の安定化が米国の国益にも資することが明らかになった。米国としても、以前のような冷戦構造は想定していないし、それは、中国の習近平政権とても同じ思いということだろう。どこがデカップリングをしないのか見極めることが重要となる。
ねじれ国会も影響
かたや、バイデン政権として、中国との「協力」を示しにくくなっていることも認識すべきポ…
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週刊エコノミスト
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