海底火山は活動的なのに常時観測されていない現実/129
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2021年8月に大噴火し、日本沿岸に大量の軽石が漂着した小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」は、現在も活発な火山活動を行っている。また、同じく小笠原諸島の海底火山「海徳海山」でも、海水の変色が確認されている。海上保安庁はこうした海底火山と伊豆大島などの火山島を合わせて「海域火山」と呼び、活火山を監視する気象庁とともに警戒しているが、陸上の火山に比べると観測体制が整っていない。
福徳岡ノ場は噴火当時、海面からの噴煙が最大1万6000メートルまで達した。その後、大量の軽石が沖縄県や鹿児島県奄美地方に漂着し、海流と風に乗って伊豆諸島など関東の沿岸にも到達した。その結果、海水浴場や漁港が使用不能となり、観光と漁業に大きな打撃を与えた。海上保安庁による上空からの最近の調査では、昨年の規模の噴火が再び発生する兆候はないが、黄緑色の変色水が確認されるなど活動はやむ気配がない。
また、小笠原諸島の硫黄島の北約150キロにある海徳海山でも22年8月、海上保安庁の上空からの観測によって変色水が確認された。気象庁がこれを受けて周辺海域に噴火警報を出し、火山噴火予知連絡会は12月、「今後、噴火が発生する可能性がある」と評価した。硫黄島の沖合では22年7月以降、小規模な噴火が相次いでいるほか、海徳海山の北にある西之島でも火山活動が続いている。
陸域より威力大も
一般に、海底で起きた噴火は陸上火山より爆発力が大…
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週刊エコノミスト
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