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教養・歴史 鎌田浩毅の役に立つ地学

地球上のどこにでも大量にあるIT産業の要/130

多結晶シリコンのかけら。これを単結晶シリコンにしてウエハー状にすれば、半導体基盤となる Bloomberg
多結晶シリコンのかけら。これを単結晶シリコンにしてウエハー状にすれば、半導体基盤となる Bloomberg

半導体シリコンの地学/上

 スマートフォンやデータセンター、電気自動車(EV)など、ハイテク産業の要となる半導体の原材料は、珪石(けいせき)と呼ばれる岩石で、原子番号14の元素であるケイ素(Si)を大量に含んでいる。産業界では元素名のケイ素より、英語名シリコンのほうが広く知られている。IT産業の集積地である米西海岸シリコンバレーの名前が示すように、最先端の電子機器に必須の材料がケイ素なのである。

 珪石は主に二酸化ケイ素(SiO₂)からなる。地球の内部を見ると、表面の地殻とその下のマントルの約半分は二酸化ケイ素からなり、最下部の核は鉄とニッケルの金属でできている。地球上の岩石の半分近くは二酸化ケイ素からなっており、どこにでも大量に存在している。そもそもケイ素自体が宇宙では7番目に多い元素である。

 二酸化ケイ素は天然では水晶や石英、メノウと呼ばれる鉱物、また、チャートと呼ばれる岩石に含まれている。純粋な二酸化ケイ素は水晶の結晶のように無色透明であるが、不純物を含む場合には色がついたり不透明になったりする。自然界にはシリコン99%からなる純度の高い珪石が存在し、これらが半導体の原材料として採掘される。

純度イレブンナイン

 シリコンが半導体の基板であるシリコンウエハーや太陽電池の基幹材料になるまでには、数多くのプロセスを経る。最初に、純度の高い珪石にコークスや木炭を混ぜる。これらを電気炉の中で…

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