インフレに負けないエンタメ 長期的視点でインバウンド 大川智宏
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NISAの拡充は、税制の面で魅力的な制度だ。とはいえ、投資が利を生まなければ、非課税の恩恵を受けられない。欧米を中心とした急速な利上げにより、世界経済は厳しい局面へと向かっている。今後は、日本でもインフレや日銀による引き締めの進行など難局の到来が予想される。比較的リスクの低い投資信託などに資金を投じるのも手だろう。しかし、「優良な銘柄」が生み出す可能性があるリターンも惜しい。
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個別銘柄への投資を考える際、問題はその優良な銘柄をいかに定義するかだ。海外の先進国はこれから景気後退のリスクに直面する。外需依存の大きい資源や大型製造業などは、目先の成長を期待するのは難しい。その半面、内需株には底堅い業績成長を期待したいが、その際に注目すべき要素は「インフレ耐性」の高さだろう。
物価高が進行すれば、それに比例して消費者の節約志向も高まっていく。日用品や食品、被服といった一般消費関連の企業は、価格の上昇とともにより安価なものへと消費が流れ、ジリ貧となることは想像に難くない。だが、この節約志向の流れには例外もある。それが、ゲームやキャラクターといった、「エンタメ消費」だ。
たとえば、楽しみにしていたゲームを購入して遊ぶ場面を考えてみたい。今なら、最新作のソフトで5000円から1万円程度の価格設定だろうか。その決して安くはないコンテンツを購入し、いざ始めてクリアまでにかかる時間は数十時間、それを超えることもあろう。「時は金なり」の言葉の通り、時間も無料ではない。インフレで困窮し、10円でも安い日用品を求めてスーパーをハシゴするくらいならゲームの時間をアルバイト(現在の東京都の平均時給は約1200円)に費やせば、実質的にはソフト代金を合わせて数万〜10万円超の高額消費となる。
つまり、ゲームを購入して遊ぶ行為に、消費者側にとっての経済的な合理性はまった…
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週刊エコノミスト
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