新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

国際・政治 チャイナウオッチ 中国視窓

地方政府の「隠れ債務」返済が先送りに 地方財政透明化はかなうか 神宮健

政府の引き締めで不動産市場が低迷する中、融資平台はモデルチェンジできるか Bloomberg
政府の引き締めで不動産市場が低迷する中、融資平台はモデルチェンジできるか Bloomberg

 中国の地方政府の隠れ債務問題に新たな進展が見られた。2022年末、貴州省の融資平台(資金調達プラットフォーム)企業「遵義道橋建設」が、銀行借り入れ(約156億元、約2970億円)について、返済期間の20年間延長を発表したのである。

 融資平台は、元は各地方政府が設立したインフラ建設などの資金調達のための企業で、インフラの建設や運営にも携わる。14年に地方政府の地方債発行が可能になって以降、地方政府のための資金調達機能は原則禁止されたが、実態では資金調達が続き、地方政府の「隠れ債務」を形成してきた。

 中央政府は、地方政府の隠れ債務を取り締まる一方、既存債務問題の解決に動いている。今回の件では、国務院が、貴州省の今後の発展のため、既存の隠れ債務について金融機関と協議して返済期間を延長することを一定の条件の下で許す旨の意見を出していた。

 中央政府の意見の下、20年間の債務返済の先送りが発表されたことで、他の地方政府の既存の隠れ債務の処理についても、一部では返済期間延長や債務再編の手段が使われることが考えられる。

 足元で融資平台の財務状況が苦しい背景には、中央政府による隠れ債務の取り締まりが依然として厳しく、資金調達が難しくなっていることもあるが、最近の不動産市場の低迷の結果、土地需要が落ち込んでいることが大きい。

 融資平台の借り入れの返済は、地方政府から得る収入に依存する。一方、地方政府のインフラ投資関連の財源としては、政府性基金(一般会計とは別の特別会計)に属する土地(厳密には土地使用権)の有償譲渡収入の割合が大きい。

 例えば、工業団地や不動産開発などのために、もともとの農地などを整備する用地整備は融資平台の主要業務の一つだが、その代金は整備を終えた用地を地方政府が有償譲渡した収…

残り620文字(全文1370文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事